FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)
Q.個人再生委員とは何ですか?
個人再生手続では、手続を適正に進行するため、個人再生委員の制度が作られています。
個人再生委員の制度
この制度を使うかどうかは、裁判所によって違います。
神奈川県では、申立のときに弁護士に依頼していないケースでは個人再生委員を選任します。
また、弁護士に依頼していても、調査が必要と判断されると個人再生委員が選任されます。

神奈川県内でも、本庁か支部かによって、個人再生委員を選任するかどうかの基準は違っています。
法律上の解釈について個人再生委員の意見を聴くことが望ましいと考えられる事案、財産調査について申立人の調査が不十分な事案、履行可能性について調査する必要がある事案、自営業者の事案について提出資料からは収支が不明確な事案などで、選ばれやすいと言われます。
最近では、住宅ローン条項の可否など法律上の問題点がある場合に、選任されるケースが出てきています。

東京地裁では、すべてのケースで個人再生委員を選任する運用がされています。神奈川県でも、最近は、個人再生委員を選任しようという動きが強くなっています。
2024年に出版された個人再生事件における書記官事務の実証的研究という本では、全国の裁判所において、個人再生委員をすべての事件で選任する運用は6庁、個別に選任する運用は44庁とされています。
個別運用の方が圧倒的に主流ではあります。
横浜地方裁判所の個人再生委員
2020年7月に横浜地方裁判所から、個人再生委員の選任についてアナウンスがされました。

代理人弁護士の申立てによる個人再生申立事件について、現在まで、第3民事部再生係では原則として個人再生委員を選任しない扱いとしていたものの、近時の傾向として、清算価値の算定や履行可能性の判断について微妙な判断を要する案件が少なからず見受けられると。
また、代理人弁護士の申立てであっても、必ずしも十分な調査・報告がされているとはいえない申立てが増加しているとも指摘されています。
そこで、裁判所としては、清算価値の算定や履行可能性の判断について微妙な判断を要する申立て、また、申立て内容が不明瞭な場合や十分な補正が行われなかった申立てについては、代理人弁護士の申立てであっても、個人再生委員を選任する場合があるので、ご理解、ご協力をいただきたいとのアナウンスです。
清算価値や、住宅ローン特別条項の利用などについては、法的な解釈が問題になるケースも少なくありません。
裁判例等が確立していない問題で、少しでも有利な申立をしようとする場合には、個人再生委員が選任されるケースも出てくるでしょう。
もちろん、後者の十分な調査や報告がされているとはいえない申立については弁護士の怠慢ですが、法的に難しい問題を抱えているケースも少なくなく、ジン法律事務所弁護士法人でも民事再生法の条文解釈に関する意見書を出すようなケースで、個人再生委員が選任されているケースもあります。
裁判所がこのようなスタンスですので、難しい問題を含むケースでは、費用負担が発生することも出てくるでしょう。
個人再生委員が選任される確率が高くなる事情
上記『個人再生事件における書記官事務の実証的研究』では、、全国的に個人再生委員を選任した事例や、選任を検討する事例として、今の事情を紹介しています。

清算価値について詳細な調査が必要な場合
・財産関係の疎明資料が不足しており、評価額等について調査が必要な場合
・財産目録に記載されていない財産が存在する可能性があり、その存在等について調査が必要な場合
・再生債務者が、売却等の換価が困難であり、評価方法について検討を要する財産を所有している場合
・再生債務者に、贈与などの無償行為や偏頗弁済等の否認対象行為に該当する可能性のある行為があり、清算価値への計上について調査が必要な場合
・最低弁済額が清算価値を基準に算定される場合→清算価値を厳密にチェックしないといけない場合ということです。

再生計画の履行可能性について詳細な調査が必要な場合
・家計収支表(家計表)から算出された1か月当たりの弁済原資が、再生計画に基づく1か月当たりの弁済予定額を下回っている場合
・月々の収入又は支出の変動が大きく、再生計画の履行可能性の判断が困難な場合
・過去に破産や個人再生の申立てをしており、再生計画の履行可能性の判断を慎重に行う必要がある場合や、家計指導が必要な場合
・負債の原因となった支出(ギャンブル等の浪費)が継続されている場合(その疑いがある場合を含む。)
・再生計画履行期間中における再度の個人再生の申立ての場合
個人事業者の財産及び収入の状況等について詳細な調査が必要な場合
・事業に関する負債が3,000万円を超え、事業に関する財産及び収入の状況等を客観的に把握する必要性が高い場合
・月々の事業収支の変動が大きかったり、事業収支と家計収支の混同が生じていたりするため、標準的な収支の把握が困難な場合

負債について詳細な調査が必要な場合
・住宅ローンや保証債務を除く負債の額が高額である場合
・再生債務者の親族等で債権額が大きい再生債権者がおり、再生債権の存否及び額について詳細な調査が必要な場合
申立代理人等にDIP型を基礎とする手続の遂行が期待できない場合
住宅資金特別条項の適用の可否について調査が必要な場合もあげられています。
上記の各事情は、おおむね神奈川県で個人再生委員が選ばれるケースは網羅するものでしょう。
事業の借金や借金額だけで個人再生の管財人が選任される事例は、そこまで多くはないと感じますが、全国的な運用だとすると、これからこのような点もポイントになってくるのかもしれません。
個人再生委員の業務
個人再生委員の仕事は、
履行可能な計画案が提出されるように必要な勧告を行うこと
収入及び財産に関する再生債務者の報告書等の検討を行うこと
開始要件や認可要件についての意見を述べること
です。

個人再生委員と個人再生手続き
法的な問題について、申立代理人と個人再生委員が協議しながら手続を進め、その過程で問題点が出た場合に、裁判所が関与するという扱いになります。裁判所は、その際に、個人再生委員の意見を聴いて判断することになります。
個人再生委員を選任する裁判所では、申立ての時点で、細かい書面の記載までは求めず、委任状や基本的書面だけ提出し、その後に個人再生委員に必要な書面を提出すれば良いとされるところもあります。
裁判所は、個人再生委員から開始相当や認可相当の意見書が出されれば、基本的にその内容に従って決定を出すことになるでしょう。
個人再生委員の費用と履行テスト
個人再生委員を選ぶとなると、その費用の支払が必要になります。
神奈川県では18万円とされています。こちらを準備できないと、手続きが進まないことになります。

東京地裁では、この費用について、履行テストを兼ねて支払をさせる運用をとっています。
すなわち、再生計画案で支払う予定額を分割予納金として、通常は6か月間、個人再生委員の口座に毎月送金するのです。この支払ができたら、認可決定が出ます。
この分割予納金から15万円等の個人再生委員報酬が控除されます。
残額が申立代理人に返還されます。これを弁済資金等に使うことはできます。

通常の民事再生手続においては、認可決定確定後3年間は、監督委員の監督を行うこととされており、これと同趣旨の運用と言われます。
このような運用だと、個人再生委員を選任しないケースよりも、手続き終了まで時間がかかることになります。

このような運用だと、個人再生委員を選任しないケースよりも、手続き終了まで時間がかかることになります。











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