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損害賠償金と個人再生ケース紹介

 

ケース紹介122  Mさんの事例 

平塚市在住 ( 会社員 / 30代 / 男性 )

借入の理由:巻き戻し 債務総額380万円


神奈川県平塚市にお住まいの会社員、30代男性からの相談でした。

約380万円、4社に借金があり、支払ができないとの話でした。

レイクの新生銀行が過半数を持っており、楽天カード、SMBCなどの債権者構成でした。

借金の経緯を聞くと、損害賠償金の支払ということでした。そこで、今回は、損害賠償金や示談と借金の関係についても合わせて解説します。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.7.10

 

借金の減額幅

債務約380が約100万円まで減額されました。

 

280万円程度の減額効果が得られています。

個人再生の減額図

 

損害賠償金とは

損害賠償金とは、他人に対して何らかの形で損害を与えた場合に、その損害を補償するために支払う金銭のことです。

契約の不履行や不法行為によって発生することが多いです。

損害は、物理的な損害(物の破損や人身の損傷など)だけでなく、精神的な損害(名誉毀損や精神的苦痛など)も含まれます。

損害賠償金の目的は、被害者を損害発生前の状態に戻すこと、つまり「元の状態の回復」です。現実には、元に戻すことが難しいため、損害を金銭として評価するものです。

 

損害賠償金の計算方法

損害賠償金の計算方法は、損害の種類や程度によります。

物的な損害の場合、その修理費用や再購入費用などが基準となります。

人身の損害の場合、医療費や休業損害、介護費用などが考慮されます。

精神的な損害の場合、その計算は難しく、裁判所の判断によります。交通事故の損害賠償の場合、慰謝料が入通院期間や後遺障害の程度によって算出する手法が取られているため、入通院などを伴う損害での慰謝料算定においては、ここを一つの参考数値として判断がされることもあります。

また、損害賠償金の計算には、過失の度合いも影響します。例えば、被害者にも一部過失がある場合、賠償金額は減額されることがあります。これを過失相殺と呼びます。

 

損害賠償金の請求方法

損害賠償金の請求方法には明確な決まりはありません。

一般的には、まず相手方に対して損害賠償を求める通知等を行います。これは口頭でも可能ですが、後の証拠とするために書面で行うことが推奨されます。連絡方法がわかっている相手の場合にはメールやLINEが使われることもあります。

その後、相手方が賠償金を支払う意思がある場合、その額や支払い方法について交渉を行います。

相手方が賠償金の支払いを拒否したり、賠償金の額について合意できない場合は、裁判等を起こすことが多いです。

ここに専門家による内容証明郵便や交渉、民事調停などを挟むこともあります。

裁判では、自身の主張を証明するための証拠が必要となります。

損害賠償請求の方法に明確な決まりはないため、通知などをせずに、最初から裁判を起こすことも理論上はできます。

 

損害賠償金の支払いと回収

損害賠償金の支払いは、基本的に一時金で行われますが、相手方の経済状況などにより分割払いにすることもあります。分割払いの場合には、合意書などを作成するのが通常です。

相手方が賠償金を支払わない場合、差し押さえなどの強制執行を行うには、裁判所で作成された書面や、公正証書が必要になります。

 

損害賠償イメージ図

 

損害賠償金と借金問題

賠償金と借金の関係について理解するためには、自己破産という法的手続きを理解することが重要です。

自己破産は、借金の返済が困難になった場合に、裁判所に申し立てを行い、全ての借金を免除してもらう手続きです。

しかし、全ての債務が免除されるわけではなく、特定の債務は免除の対象外となります。これを非免責債権と呼びます。

 

損害賠償金は、その性質により非免責債権となることがあります。破産法では、損害賠償金について2つの場合には非免責債権となるとしています。

・悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権:これは、相手に対して「損害を与えてやろう」という積極的な意図を持って行為を行った場合に該当します。例えば、物を盗む、騙し取る、会社の金品を横領するなどの行為がこれに該当します。

・故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権:殺人、傷害事件のほか、過失内容によって交通事故や業務上過失致死傷でも問題になります。

以上のように、損害賠償金の一部は、自己破産をしても支払義務が残ります。この規定は、個人再生でも使われており、非減免債権と呼ばれます。

 

そこで、このような賠償義務を負った人は、借金をして賠償金を支払うことがあります。賠償金そのものは非免責債権になることがありますが、賠償金の支払目的での借金は、非免責債権になりにくいです。

もちろん、個人再生や自己破産をしようとして借金をすれば詐欺となり、悪意の不法行為となる可能性が出てきます。しかし、借金をした際には、そこまで考えておらず、しばらく支払をしたものの、他の事情で支払いができなくなったという場合には、非免責債権にはならないとされる可能性が高いです。

自己破産や個人再生をする人の中には、過去の借金の経緯をまとめていくと、このような損害金の支払や示談金の支払という理由が出てくる人もかなりいます。

今回も、過去に損害賠償金について示談をし、示談金支払のために借金をした事例です。

 

示談金支払の個人再生事例

約10年前に、職場の同僚を怪我させてしまい、示談金として200万円を払う約束。

被害者は、耳が聞こえなくなるような後遺障害を負ったとのことで、治療のために、しばらく会社も休むような状況。

200万円の示談金は相場だと言われ、刑事事件にもしないのでと言われたので、支払いを約束。

その支払いについては、待ってもらっていたものの、これ以上、待てない、すぐに払ってほしいと強く求められました。

同じ職場で働いていた同僚のため、穏便に解決したいと思い、銀行などでローンを組んで示談金を支払いました。

さらに、ちょうどこの頃、同居していた親族が入院をすることになってしまい、医療費を負担しなければならず、これも借金で補うことになりました。

短期間に250万円近くの借金をすることになってしまったのですが、当時の収入は、手取りで50万円程度あったので、毎月の返済については、月々の収入から払えていました。

ただ、収入には波があったので、支払いが厳しい月もあり、そのようなときには、クレジットカードを利用したり、他社から借り入れをして返済資金に充てていました。

 

家族収入の減少で借金

このような生活で、返済を続けていたのですが、兄が転職することになり、収入が大幅に下がったので、母の扶養に関する支払いは全て相談者が負担することになりました。

住居費を減らすため、それまで住んでいた賃貸マンションを引き払い、親族の家に引っ越すことに。

しかし、単純に住居費の減額という結果にはならず、生活状況が変わることで、支出が増えることもあり、借金は減らせませんでした。

さらに、手取り収入が月収で50万円程度あったのに、30万円前後に落ち込みました。収入のほとんどは、残業代だったので、仕事が少なくなると、収入が激減したのが原因でした。

返済することができず、身の回りの物を売却したりして、返済資金を作っていましたが、限界が来て、相談に来たという経緯です。

当初は、任意整理をする形で、借金を全部支払おうと交渉してもらったのですが、一部の業者が、取引が短いこともあり、元金の分割払いには応じられないと言ってきたため、個人再生の申し立てをすることとなりました。

 

損害賠償金と債権者一覧表

損害賠償金を理由に個人再生をする人の中では、賠償債務を債権者一覧表に載せて個人再生をする人よりも、賠償金は借金などで早期に支払い、その後に返済を続けていたものの、支払ができなくなり、個人再生の申立となってしまう人の方が多いですね。

賠償債務がそのまま個人再生となると、非減免債権の問題や、小規模個人再生では反対意見を出してくる可能性が高いかと思いますので、高額の損害賠償債務を負っている場合には、注意が必要です。

 

再生計画案による減額

今回は、新生銀行が過半数を占めていましたが、過去に反対意見を出してきていなかった傾向から、リスクをとって、小規模個人再生での申立としました。反対はなく、借金が減額できています。

最低返済額の100万円までの減額ができていいます。

約280万円の減額効果を得られています。

個人再生減額図

 

損害賠償関係の個人再生の依頼も多くありますので、借金でお困りの方はぜひご相談ください。

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