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FAQ(よくある質問)

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Q.小規模個人再生、給与所得者等再生の選択基準は?

個人再生のうちの2つの手続のうち、どちらを選ぶかという相談も多いです。

今回は、その手続について解説します。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

動画での解説はこちら。

 

 

給与所得者等再生と小規模個人再生の2種類

個人再生には、給与所得者等再生と小規模個人再生という2種類があります。

ある程度、調べてから相談に来る人からは、どちらを選ぶかという個人再生手続の選択を相談されることも多いです。

 

個人再生手続は、民事再生法で定められている制度で、借金の元金も大幅に減額できる借金救済制度です。

 

選択権があるか

まず、そもそもどちらか選べる立場にあるのか、選択権があるのかというチェックが必要です。

選べる立場にある場合には、それぞれの場合のメリットデメリットを考えていくという流れです。

 

この2つの手続の関係として、給与所得者等再生手続きを使える人は、小規模個人再生手続きも使えます。

これに対し、小規模個人再生しか使えない人もいます。

小規模個人再生の利用可能者の中に、給与所得者等再生手続の利用可能者が含まれるという関係にあります。

 

そもそも、個人再生は継続的な収入があることが前提なので、そのような収入がある人が、どのような選択権を持っているかをチェックしていくという話になります。

 

参考リンク Q.個人再生が認められる「収入」要件とは?

 

 

給与所得者等再生を使える収入とは?

給与所得者等再生手続きは、サラリーマンのように給料のような安定収入を得ている人が使える手続です。

過去2年の収入変動を見て、5分の1以上の変動がなければ要件を満たすとされています。この変動は、可処分所得の要件から来ています。ただ、収入要件とは必ずしも一致しなくて良いとされていることから、これを超える変動がある場合には、別途、事情を説明していくことになります。

給料収入でも、歩合の部分が多いなど、年収ベースで大きな変動があると使いにくいです。

ボーナス額が大きく変わっている場合も使いにくいです。このような場合には、個別に事情を説明していきます。

転職した場合や、就職したばかりという場合には、その期間を見ていくことになります。

転職前後での収入変化は考慮しません。

 

これに対し、もともと収入が不安定な自営業者は、給与所得者等再生を使うことはできません。

 

給与所得者等再生を使えない破産歴とは?

給与所得者等再生は、債権者に与える影響も大きいです。


そのため、小規模個人再生では予定されていない制約があります。

そのなかに、過去の破産歴があります。

7年以内に自己破産などで免責許可を受けている場合、給与所得者等再生は使えません。

自己破産でも、7年以内の自己破産は、免責不許可事由とされます。

これと同じで、破産で免責許可が出てから7年以内だと、給与所得者等再生は使えないという制約があるわけです。

この場合でも、小規模個人再生手続きは使えます。

 

 

給与所得者等再生は反対されても通る

2つの手続を選択できるような立場にいる場合、どちらを選べばよいのか決めることになります。

 

ほとんどの人は、小規模個人再生手続を選んでいます。

この理由は、この2つの手続の違いから来ています。

 

大きく違う点に、債権者の反対があると、手続が否定されるかどうかという点があります。

債権者が反対すると、小規模個人再生では減額が通りません。

反対があっても通るのは給与所得者等再生となります。

ここでいう反対というのは何かというと、頭数や債権額の過半数債権者の反対です。

5社いたら、3社が反対。500万円の借金だったら250万円の反対というイメージです。

これらのどちらかです。

たとえば、5社合計500万円というケースでも、1社が300万円の債権という場合。その1社が反対するだけで、小規模個人再生手続は通らなくなります。

 

債権者が反対してくるか?

そうすると、債権者が反対してきそうかどうかがポイントになりそうです。

反対してこないなら、小規模個人再生でも問題ないことになります。

反対をしてきそうか、予測できない債権者が入っている場合は、検討が必要でしょう。

個人債権者とか金融機関ではない取引先などの債権者がいる場合で、金額や人数で多い場合は、反対してくるかどうか読めません。

給料所得者等再生手続きを使った方がリスクは少なくなります。

 

金融機関に関しても、個人再生の取り扱いが多い専門家に依頼した場合には、過去の事件での動きを教えてもらえることはあるでしょう。

ただ、過去に反対してきていないのに、個別事情で反対をしてくる金融機関もあります。

関連リンク:Q.個人再生で反対してくる債権者はどこですか?

 

2018年あたりでは、楽天カード、アイフル系列、たまにアコムが反対してきたことがあります。

2020年にはフクホーや一部の債権回収会社の反対がありました。

 

このような検討をするときには、最終的な債権者がどこになりそうかの確認は必要です。

例えば、相談時に銀行のカード借金でも、再生申立時には保証会社に代位弁済され、債権者が変更されるのが通常です。

三菱UFJ銀行に対する借金だったものが、消費者金融アコムが保証しており、反対するかどうか意見を出してくるのがアコムだということもあります。

この場合は、保証会社による反対があるかどうかを見極めなければなりません。

 

給与所得者等再生の可処分所得基準

小規模個人再生、給与所得者等再生の2つの手続きの中が大きな違いの中で、給与所得者等再生のデメリットもあります。

それは、支払い額が高くなる可能性があるというものです。

個人再生では、減額されるとしても最低限、払わなければならない金額が決められています。

まず、金額からの最低返済額。これは自動的に決められます。

借金が500万円あるという場合には100万円、1500万円なら300万円というような金額からの基準です。

もう一つが財産の総額から導き出される清算価値という基準。

これらの多い方が最低支払い額となります。

借金が500万円、清算価値が200万円なら、200万円が最低支払い額になります。

ここまでは、小規模個人再生、給与所得者等再生とも同じです。

 

給与所得者等再生の場合、ここにもうひとつの基準が加わります。


これを可処分所得基準と呼びます。

これは、過去2年分の収入から一定の金額を差し引いた金額で、ほぼ自動的に決められます。

扶養家族や住居費などで、金額が決まります。

収入がある程度高い人、扶養家族が少ない人は、この可処分所得が高くなる傾向にあります。

この可処分所得基準が低い場合には、給与所得者等再生のデメリットはほぼなくなるので、債権者が反対してきそうかなどを検討せずに、給与所得者等再生の申立を進めればよくなります。

 

参考リンク:Q.可処分所得基準とは何ですか?

 


給与所得者等再生と小規模個人再生のどっちを選ぶのが良いかという場合には、このようなポイントで判断することが多いです。

 

文責:弁護士石井琢磨(神奈川県弁護士会所属)

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