個人再生の債権者一覧表について解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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Q.個人再生の債権者一覧表とは?

個人再生は裁判所に申立をして借金を減らしてもらう制度です。

裁判所への申立の際には、どのような借金があるのか債権者の一覧表を提出します。

この記事は

  • 個人再生の申立をしたい
  • 個人再生の連絡が行く債権者は誰かを知りたい

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.5.25


債権者一覧表の提出

個人再生の申立時には、どのような債権者にいくらの債務を負っているのか、債権者の一覧表を提出します。

この債権者一覧表は、裁判所用のほか、各債権者に送付する分の副本を提出します。

そこには、書かなければならない内容が決められています。

・再生債権者の名前または企業名、住所、郵便番号、電話番号(ファクシミリの番号含む)、およびそれぞれが持つ再生債権の額とその原因
・担保権者については、その別除権の目的と、別除権の行使によって支払いを受けられないと予想される不足見込み額
・住宅ローンについてはその旨
・住宅ローン特別条項を設けた再生計画を提出する意向がある場合は記載
・法84条2項に記載される請求権(再生手続き開始後の利息の請求権等)
・執行力のある債務名義または終局判決がある債務についてはその記載

再生債権の額及び原因には、発生年月日および発生原因を含むとされています。契約日等がいつだったのか、契約内容が貸付や立替払いなのか等を記載します。

 

 

債務者一覧表に掲載すべき債権

再生債権とは、債務者に対する、再生手続開始前の原因によって生じた財産上の請求権を指します。

再生債権者でない者は、原則として債権者の立場で再生手続に関わることはできません。

したがって、債務者一覧表には、再生債権でない共益債権や一般優先債権は掲載しません

債権者一覧表を作成する際には、どの債権が再生債権で、どの債権が共益債権や一般優先債権となるか仕分ける必要があります。

一般優先債権は、税金等の法律的に優先する債権などです。これらの債権は、再生債権とは異なり、再生計画によっても減額されません。

 

再生手続開始後の利息

再生手続開始後の利息の請求権は、再生手続開始後に発生する請求権ですが、元本債権に附随する請求権として再生債権となります。

これらの請求権は、再生手続開始の申立て時にはその金額を計算することは不可能です。そのため、債権者一覧表には正確には載せられません。

債権者一覧表には、通常は、受任通知後に、各債権者からの債権届の金額を載せます。もっとも、受任通知後に、あまりにも時間が経ってしまったような事件では、再度、債権届を出してもらったり、申立直前までの遅延損害金を計算した金額を載せることもあります。

 

 

担保不足見込額の記載

使うことは少ないですが、別除権付債権がある場合には、別除権の行使によっても不足する見込額を記載する必要があります。

住宅ローン条項を使う債権以外の不動産・担保ローンを持っていたり、リース物件で弁済協定等を使う場合に記載します。

担保を実行されても足りない見込額を書かなければならず、ここは不確定要素が強いところです。

 

不足額を算出するためには、別除権の行使によって支払いを受けられる額を確認する必要があります。

しかし、担保物がいくらで売れるのかはわかりません。そこで、不動産業者が作成した査定書などに記載された金額によって、不動産の評価額を出して、債権額からこれを引いて不足見込額を決めるしかないことも多いです。

実際の再生計画案が認可され、返済が始まった後、この不足額が確定した場合、当初の見込額と大きくずれることもあります。売却が査定価格よりも高かったり、低かったりした場合にはずれが生じます。

そのような場合には、返済計画にも影響が出ることになります。

そのため、別除権付債権がある場合の個人再生では余力がある再生計画にしておくほうが無難です。

マンション滞納管理費や修繕積立金

マンションの管理費は、そのマンションの管理組合が規定する規約に基づき、全てのマンション所有者が共有部分の維持や管理について負担する金額です。

管理組合は、自らまたは他者に委託してマンションの共有部分を管理します。修繕積立金も同様の考え方で扱われます。マンション所有者は、管理組合が決定した管理費の徴収に従わなければならないという義務を負います。

管理費の債権には、マンションおよびその備品に対する特別な先取特権が認められています。

特別の先取特権が認められる滞納管理費は、理論的には、別除権付再生債権という扱いになります。さらに、理論的には、住宅ローン条項を使う際に、滞納管理費があると、住宅には、住宅ローンの抵当権以外に、担保権があることになってしまい、住宅ローン条項の要件を満たさないことになります。

そのため、住宅ローン条項を使う場合には、管理費等は滞納しないようにすべきでしょう。

住宅を維持しない場合には、滞納分を債権者一覧表に記載することになり、別除権付再生債権として扱うことになるでしょう。

 

個人再生で減額できない債権

再生債権の中には、再生債権者の同意がある場合を除き、再生計画において債務の減額や権利に影響を及ぼす定めをすることができないものがあります。

減額されない債権です。非減免債権と呼ばれたりします。

再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
再生債務者が故意または重大な過失で加えた生命・身体の損害賠償請求権

養育費、婚姻費用

等が代表例です。

これらの非減免債権は、再生計画で減額されません。ただ、それでも再生債権なので、債権者一覧表には入れることになります。そのうえで、再生計画の返済中は同じように減額して支払い、再生計画の期間が終了するタイミングで残金を一括支払することになります。

Q.養育費の滞納があっても個人再生はできますか?

 

 

保証人の債務

誰かの保証人になっていることを保証債務と呼びます。

保証債務は、再生手続開始前の原因によって生じた債務になるので、再生債権となります。

債権者一覧表に載せる取り扱いです。

ただし、保証債務では、本来の義務者である主たる債務者がいるという特徴があります。

主たる債務者が、まだ支払を続けている場合と、支払と止めている場合に分けて考える必要があります。通常、債権者は、主たる債務者が支払を続けているのであれば、保証人にはすぐには請求しないでしょう。まだ、請求が現実化していないともいえます。ここを分けて考える必要があるのです。

主たる債務者が支払を最後まで続けられるのであれば、保証人は、結局、支払わなくて良いということにもなりそうです。

しかし、個人再生の運用としては、たとえ主債務者が支払を続けている場合でも、保証義務は現在の債務として、債務全額を評価額として債権者一覧表に載せます。

この保証債務の金額が大きい場合には、再生債権の総額が5000万円の要件に注意する必要があります。

奨学金の保証人など忘れがちですので注意してください。

 

労働者の債権

個人再生の申立人が事業者などで、労働者を雇用している場合、未払い給料などの労働債権者がいる場合もあります。

労働者の債権は、民法308条により一般の先取特権が認められています。

優先債権となるので、再生債権にはならないので、確認しておきましょう。

また、事業収入で個人再生をしようと考えているのに、未払い給料がある場合には、そもそも履行可能性があるのか、借金を払うことができるのか審査が厳しくなることが見込まれます。

 

個人再生と公租公課の滞納

税金や、健康保険料、国民年金保険料などの公租公課は優先的な性質を持っています。

再生債権にはなりませんし、減額の対象にもなりません。

このような優先度が高いものを払えていないとなると、履行可能性の審査が厳しくなります。

神奈川県では滞納税金等の申告をするほか、分納の合意ができているのか等を問われます。

少額の場合には、そこまで審査が厳しくはなりませんが、金額が大きい場合には、分割払いの納付書を提出するなどして、完済できる見込み時期等も明らかにする必要があります。

 

刑事事件の罰金

再生手続き開始前に刑事事件となり、罰金刑が言い渡されているような場合、問題があります。

罰金や科料については、再生手続きの申立て時には再生債権となります。

減額にはなりませんが、民事再生法181条3項により、再生計画の弁済期間が満了まで、弁済できないものとされています。

 

 

 


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