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離婚と個人再生ケース紹介

 

ケース紹介122  Mさんの事例 

茅ヶ崎市在住 ( 会社員 / 40代 / 男性 )

借入の理由:巻き戻し 債務総額1400万円


神奈川県茅ヶ崎市にお住まいの40代男性からの相談でした。住宅関係の債務のほか、離婚もあり、多額の債務を負ったとの相談でした。

1400万円もの債務になっていました。スルガ銀行が過半数の債務となり、その他もセゾン、エポス、SMBCなど100万円以上の債権者がいる構成でした。

今回は、離婚関係もあるため、個人再生と離婚に関しても解説しています。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.6.26

 

借金の減額幅

債務約1400万が約280万円まで減額されました。

 

1100万円程度の減額効果が得られています。

個人再生の減額図

 

個人再生手続きと離婚のタイミング

個人再生手続きは、多額の借金を抱えている個人が、法的な手続きを通じて借金を減額して分割払いにする制度です。

離婚は家庭内の問題を解決するための手段であり、これには財産分与や慰謝料、養育費などの金銭的問題が絡むことが多いです。

個人再生手続きと離婚のタイミングは、これらの問題が重なり合うため、非常に重要です。

 

個人再生を進める中で離婚を考える場合、離婚が個人再生手続きにどのような影響を及ぼすかを慎重に考える必要があります。

例えば、離婚によって生じる財産分与や慰謝料の支払いが、個人再生の計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。

離婚によって家計の収支状況が変われば履行可能性の問題も出てきます。

個人再生手続きを開始する前に離婚を検討している場合、離婚が経済的な状況にどのような影響を及ぼすかを把握することが重要です。

 

もし、離婚により個人再生手続きが認められなくなる可能性が高い場合は、離婚を先延ばしにするか、または要件を精査して、個人再生手続きが可能なタイミングを検討する必要があります。

離婚イメージ図


離婚時の財産分与と個人再生

離婚時には、夫婦間で共有していた財産の分割が行われます。財産分与と呼びます。

これは、不動産、預金、家財など、夫婦が婚姻中に共有することになった財産を公平に分ける制度です。

しかし、個人再生手続き中に離婚する場合、財産分与が個人再生の進行に影響を及ぼす可能性があります。

 

個人再生手続きでは、債務者の財産以上の支払をしないといけない清算価値要件があります。

離婚による財産分与によって、清算価値に影響を及ぼすことがあります。

例えば、離婚によって受け取る財産が個人再生の清算価値に組み込まれる可能性があります。これにより、個人再生の弁済額が増加する可能性があるため、注意が必要です。

逆に、個人再生直前に離婚をし財産分与で財産を減らした場合、その正当性が問われます。

不当な財産減少は、否認の対象だと指摘され、清算価値に加算するよう指示されることもあります。個人再生準備中に離婚となってしまう場合もありますが、財産分与で債務者名義の財産を配偶者に譲渡する場合、全体的な財産額や、その財産の評価に関する資料は揃えておく必要があるでしょう。

 

離婚慰謝料と個人再生

離婚時には、配偶者に対して慰謝料の支払いが発生することがあります。

これは、配偶者に対して精神的な損害を与えた場合に支払われるもので、離婚の原因が不貞行為などの場合に特に関係します。個人再生手続き中に慰謝料の支払いが発生する場合、これが個人再生の計画に影響を及ぼす可能性があります。

慰謝料については回収する側からすれば、財産になります。払う側からすれば債権になります。

どちらの視点であるかが重要です。ただ、多くの場合、個人再生準備中に離婚になる事例では、借金が原因で離婚になってしまっています。そのため、財産として離婚慰謝料が回収できるという事例は多くないです。

回収する側の場合、慰謝料は一般的に高額です。個人再生の清算価値に組み込まれる場合、個人再生によって支払うべき弁済額が増加することになります。分割払いの場合などに回収可能性をどう評価してもらえるかがポイントになってくるでしょう。ただ、金額が決まっている場合には、支払が止まっているなどの事情がない限り、全額が清算価値になってくることが多いです。

これに対して、慰謝料を支払う側の場合、慰謝料が非減免債権になる可能性もあります。その性質をどう考えるか、また非減免債権にならないという場合には、原則どおり債権者一覧表に載せて減額対象とするので、そこに納得してもらえるかどうか等がポイントになります。小規模個人再生の場合には、決議で反対意見を出してくるリスクもあります。

個人再生直前の離婚交渉では、離婚慰謝料も原則として債権者一覧表に載り個人再生の減額対象になることを伝えたうえで免除してもらうよう求めるのが良いでしょう。

 

養育費の取り決めと個人再生

離婚が成立した場合、子供の養育費の取り決めも問題になります。

養育費は、非親権者が親権者に対して、子供の生活費や教育費を支援するために支払う金額です。

個人再生準備中に離婚し、養育費の取り決めが行われる場合、これが個人再生の計画に影響を及ぼす可能性があります。

養育費を支払う側が個人再生を行う場合、養育費の支払いが個人再生の再生計画に基づく支払いと並行して行える必要があります。家計支出から養育費を支払ったうえで、減額された借金が払えないと、履行可能性が認められません。そのような家計余力があるかどうかが問題になります。

また、過去に滞納養育費があると、そちらも問題になります。

Q.養育費の滞納があっても個人再生はできますか?

 

一方で、養育費を受け取る側が個人再生を行う場合、養育費は収入の一部として計算されます。

しかし、現実には、養育費の支払いは不安定であることが多く、養育費の取り決め方(調停や公正証書であるか)や相手の職業なども履行可能性判断のポイントになってくるでしょう。それらも報告して履行可能性を認めてもらう必要がります。

 

離婚による住居の変更と個人再生

離婚は、住居の変更を伴うことがよくあります。

これは、夫婦が共同で生活していた住宅を離れ、別々の場所で生活を始めることを意味します。

個人再生準備中に離婚し、住居を変更する場合、これが個人再生の計画に影響を及ぼす可能性があります。

住居の変更により、まず、管轄裁判所が変わる可能性が出てきます。神奈川県から都内に転居するなどした場合には、個人再生委員選任の運用裁判所へと変更になるので、費用が全く変わってきます。

次に、住居変更により、家賃支払い額が変わる場合、新しい家賃を支払っても返済ができる家計余力が必要になります。

 

個人再生と離婚の総合的な対策

個人再生と離婚は、それぞれが生活に大きな影響を及ぼす重要な決断です。

これらを同時に進める場合、それぞれの手続が与える影響・デメリットを考慮しつつ判断することが重要です。

財産分与、慰謝料、養育費、住居の変更など、多くの要因が絡み合います。

個人再生準備中に離婚となり、履行可能性がなくなり、自己破産に変更する人もいます。

離婚が避けられない場合には、個人再生を予定どおり進めるのか、一度、立ち止まって考えてみると良いかもしれません。

 

 

住宅ローン関係の借金

自宅を購入した際、追加工事として、ソーラーパネル、オール電化などでローンを組んだとのことでした。

ここまで何とか自分の収入から払えると見込んでいたのですが、2人の子供が幼稚園に入ると、支出が増えてしまい、借入れを増やすように。

家計が厳しくなったことが原因か、夫婦仲も悪化してしまい、妻が不貞をするなどもあり、離婚することになってしまいました。

別居直前には、スルガ銀行で借金をまとめ、何とか家計をやり直そうとしていた状態でした。

別居により体調悪化。精神科に行ったところ、適応障害と診断されるような状態。

 

返済を何とかしようとFXもしていたのですが、失敗してしまい、かえって借金が膨らんでしまったとのことです。

その後は症状も落ち着いたので、収入から払える額をしっかり払い、生活を立て直したいとのことで個人再生を希望するとのことでした。

 

離婚協議と財産処分

話を聞いてみると、戸籍上は離婚が成立していないことが判明しました。

離婚協議書を作成し、口頭では合意ができているのですが、書面に押印などはしていませんでした。

離婚時に、それまで家族で使っていた車を売り、相談者と妻がそれぞれ車を購入。

131万円で売却しましたが、自動車ローンが残っていたので、ほとんどがローンの返済に充てられました。

妻が車を買う際に、相談者が信用金庫でローンを組み、債務を負担し、その負担金を毎月の養育費から控除する内容で合意したとの話でした。

財産分与の問題と考えると、自動車の売却自体は、通常の売却で、代金使途もローン返済が大半なので、個人再生の手続上はさほど問題になりません。その後、自分で購入した自分名義の車はそのまま査定額が清算価値になります。

一方で妻名義で購入した車については問題があります。これが相談者の財産だと判断されれば清算価値になります。まず、名義は妻ですので、客観的には妻の資産と認定されそうです。代金は相談者が払っているようにも評価できます。そうすると、実質的には、相談者の財産と認定されてもおかしくありません。しかし、ローンは組んでいるものの、養育費が減額されるという内容です。養育費から代金が払われていると評価すると、妻の財産となりそうです。このように複数の理論構成が考えられる問題が発生しています。

しかし、結局、この車自体が、そこまで高くない中古車であったため、清算価値に含めても含めなくても返済額は変わらないという状態でした。そのため、裁判所も当方の報告書以上には追及せずに、妻名義の資産として手続きは進められることになりました。

 


再生計画案による減額

個人再生による減額率では、5分の1になる金額帯でした。

1400万が約280万円まで減っています。

 

約1100万円の減額効果を得られています。

個人再生減額図

 

離婚と関連する個人再生の依頼も多くありますので、借金でお困りの方はぜひご相談ください。

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