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Q.個人再生の住宅ローン条項とは?

個人再生における住宅ローン条項についての解説ページです。

  • 自宅を残した債務整理をしたい
  • 住宅ローン延滞、代位弁済、競売になった
  • ペアローン、親子ローン、店舗兼用物件

などの状態で、個人再生を検討している人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.10.10

 

個人再生の住宅ローン条項とは

住宅ローン条項とは、個人再生手続きで、住宅ローンのみ特別扱いをして支払いをする特別条項のことです。

この住宅ローン条項を使うことによって、住宅を維持することができ、その他の借金だけを減額することができます。
個人再生では、この条項を使うことで、自宅を残すことができるのです。

住宅ローン条項は、個人再生手続きの中で、小規模個人再生手続き、給与所得者等を再生手続のいずれでも使うことができます。

自宅不動産

住宅ローンの減額

住宅ローン条項では、住宅ローンは支払うことが前提です。

住宅ローンを支払い続けることによって、抵当権を実行されずに、自宅を競売等にかけられなくなるのです。

そのため、住宅ローン自体は減額されません

減額されるのは、他の借金だけということになります。


ただし、住宅ローン条項の中の、一部の条項を使えば、他の借金の支払い期間中の住宅ローン返済額を下げたり、住宅ローンの返済期限を延長したりすることができます。

 

住宅ローン条項の種類

住宅ローン条項では、滞納により期限の利益を失ってしまった場合に、これを回復するパターンの住宅ローン条項があります(民事再生法199条1項)。この場合、滞納分については、一般弁済期間終了時までに完済する必要があります。

期限の利益喪失を回復するだけでは返済が難しい場合、リスケジュール型があります。

住宅ローンの支払期間を延長するなどして、毎月の返済を下げる方法です。延長できる期間は、当初の住宅ローン契約の最終支払い時期から10年が上限、最終弁済期における債務者の年齢は70歳以下である必要があります(民事再生法199条2項2号)。会社員の場合には、定年退職後の支払可能性についても考慮する必要はありますが、当面の支払い額は減らせる可能性が高いです。

さらに、他の借金を支払っている一般弁済期間中の住宅ローンの元本支払を猶予するという条項もあります。この場合、猶予された分は、一般弁済期間後に支払うことになります。他の借金が減額されても支払が大変だという場合に使う方法ですが、将来の住宅ローン支払い額はその分増えるので、それをどう考えるかがポイントになります。

 

住宅ローン自体の支払が厳しい場合の個人再生

住宅ローン条項を使っても住宅ローン自体の支払いが厳しいという場合には、このような住宅ローン条項付の個人再生ではなく、自己破産を選択することが多いです。

そのような住宅ローンは、無理な住宅ローンということになるので、他の借金を減額しても、最終的に住宅ローン返済を継続するのは難しくなってしまうわけです。


ただ、他の借金の返済期間など、一定期間だけ支払いを減らせれば、その後払える見込みがあるような場合には、一定期間の支払いを抑えることなどができるわけです。


個人再生と偏頗弁済

一部の借金だけ支払いを続けることを偏頗弁済と呼びます。

債務整理方法について、色々と調べている人は、住宅ローンの返済が偏頗弁済にならないか心配することがあります。


自己破産手続きでは、偏波弁済の態様によっては、免責不許可事由とされています。
また、偏頗弁済があると、破産管財人等を選び、この弁済を取り消す否認権の制度もあります。

個人再生手続きでも、偏波弁済については問題視されます。


ただ、個人再生で、住宅ローン条項を使う場合は、住宅ローンの支払いについては偏頗弁済にはあたりません

法律で、住宅ローン条項によって特別扱いし、支払いを継続することが認められているので、この支払いを継続する事はむしろ望ましいことになります
偏頗弁済の心配はありませんのでご安心ください。

 

住宅ローンの支払いはどうなるか

住宅ローン条項のうち最も使われるのは、住宅ローンはそのままの契約どおり支払うというものです。

利息等の支払いをトータルで検討すると、このような契約どおりの支払いが、最も経済的な負担が少ないといえます。
そのため、多くの方が、このような住宅ローン条項を使います。

このような住宅ローン条項を使う場合には、受任通知によって、他の借金の返済を止めるものの、住宅ローンだけは返済を続けることになります。

また、個人再生の申し立て時に、住宅ローンだけは返済を続ける弁済許可をもらい、その許可を銀行などに送って個人再生の手続き中も返済を続けます。

裁判所の弁済許可

これによって住宅ローンは延滞せず進むことになります。

 

住宅ローンの延滞がある場合の個人再生

このように、元の契約通り払っていくという住宅ローン条項が多いのですが、個人再生の相談時に住宅ローンを延滞してしまっているケースもあります。

延滞を解消してから個人再生の申し立てをすることが、本来は望ましいのですが、これができない場合もあります。

そのような場合には、住宅ローン条項の中でも特別な条項を使っていくことになります。

住宅ローンの特別条項の中には、延滞があっても、それをそれを解消するようなものもあるので、その場合には、個人再生手続きの中で、この条項を使っていきます。

また、住宅ローンの返済終期を遅らせる条項などもあります。

ただし、これは、支払いを後に遅らせるだけなので、後の支払い金額が高くなる関係にあります。

可能であれば、延滞を解消し、元の契約どおり払っていくほうが、トータルの支払額は低くなります。

 

住宅ローンと代位弁済

住宅ローンの延滞が長く続いていると、保証会社などに、債権が移ることがあります。
これを代位弁済といいます。

保証会社が、銀行等に肩代わりをして支払うものです。

銀行へ代位弁済

この場合の債権者は保証会社となります。

個人再生の手続き自体は、住宅ローンの代位弁済がされていても、6か月以内に申し立てまでいければ、何とか使えます。

この場合、巻き戻しの手続きをします。

 

住宅ローンの巻き戻し

巻き戻しとは、保証会社に移った住宅ローン債権を、銀行等の元の住宅ローン債権者に戻す手続きです。

銀行等に住宅ローンを戻したうえで、リスケジュールをし、返済を進めることになります。

このような巻き戻し手続きは、銀行との協議の時間も必要なので、早めに手続きをする必要があります。

また、短期間で個人再生の申し立てをしなければならなかったり、住宅ローン会社との協議で、再生計画案の認可確定直後に、ある程度まとまったお金が必要になることもあり、返済計画等をしっかり考えたうえで、ある程度余裕がある家計状況でないと使いにくいです。

ただし、そのような費用面の問題がクリアできるのであれば、代位弁済された後に、自宅を確保できるわずかな選択肢となりますので検討してみてください。

Q.住宅ローン代位弁済後の巻き戻しとは?

 

住宅ローンの事前協議

住宅ローン条項を使う場合には、住宅ローン債権者と事前に協議をしなければならないとされています。

弁護士がついている場合には、基本的には弁護士サイドで協議することになります。

銀行と協議

住宅ローンについて、そのまま支払うという内容ではなく、契約内容を変更したり、巻き戻しをするような場合には、住宅ローン債権者と、何度も協議が必要になってきます。


そのため、弁護士への依頼から、申し立てまで、ある程度時間がかかることがあります。

 

住宅ローンの抵当権の問題

このような住宅ローン条項を使うには、いくつかの要件があります。

そのうちの1つに、住宅には、住宅ローン以外の抵当権がついていないことという要件があります。


住宅ローン以外に抵当権がついてしまっていると、そちらの支払いは止めることになり、抵当権が実行されるので、自宅を維持できなくなります。

そのため、そのような住宅ローン以外に抵当権が付いている場合には、住宅ローン条項を使った個人再生が利用できないことになります。

 

住宅ローン契約時に諸費用ローンを組んでいる場合や、同じ銀行で別のローンを借りて抵当権が設定される場合、ペアローンや親子リレーローン等が組まれている場合には、この要件をチェックしてから、個人再生を進める方が望ましいです。

 


住宅ローンの借り換えと個人再生

住宅ローンを借り換えている場合も、個人再生手続きの住宅ローン条項が使えます。


ただし、住宅ローンの中に、違う借金が混じってしまっていると、住宅ローン以外の支払いをすることになってしまうのではないかと疑われます。

そのため、借り換えがある場合には、借り換えたお金が、過去の住宅ローンと同一であることを示す必要があります。

そのために弁済資金の資料など、借入金と、その使い道については書類を提出する必要があります。

住宅ローン借り換え

借り換え時に、他のローンなども組み込まれていると、他の借金で抵当権が設定されているものと同視され住宅ローン条項が使えにくくなってきます。

 

住宅ローン条項と預金口座

銀行に借金がある場合には、受任通知によって、預金口座の相殺や、凍結があります。


住宅ローンを負っている銀行に、他にカードローンなどの借金がある場合には、他のカードローンなどを止めることによって、預金口座が使えなくなることが多いです。

そのため、住宅ローンの支払いについてどうするのかは、個別に銀行に確認する必要があります。

弁護士に依頼する場合には、弁護士サイドでこちらが対応します。

ただし、場合によっては、窓口での住宅ローン支払いなどで負担が生じることもあり得ます。

Q.預金の振替・凍結はどうなりますか?

 

住宅ローン条項を使える個人再生の不動産

このような個人再生の住宅ローン条項は、再生債務者であっても自宅だけは残してあげようという制度です。


そのため、基本的には自宅のみが対象になります。

投資用の不動産等は対象外となります。

事業のための不動産についても対象外です。

店舗兼自宅のような、兼用の不動産の場合には、自宅の方が主な目的であるということを示す必要があります。
このような場合には、床面積が2分の1以上を、住居分に使われているかどうかを示す必要があります。図面などを提出します。

また、二世帯住宅の場合にも、この問題が出てきます。床面積2分の1以上が、申立人の自宅として使われていることを示す必要があるのです。

 

「住宅」の基準時

個人再生の要件である「住宅」については、いつを基準にするのかも問題になります。

自分の家として購入し、個人再生の申立て時点でも自宅として使っている場合にはさほど問題になりません。

これに対し、購入時には投資用物件など自宅ではなかったものの、その後、居住し自宅として利用している状態で個人再生の申立てをする場合にはどうなるのか問題になります。

この点については、個人再生の申立て時に「住宅」の要件を満たす、つまり自宅として居住しているのであれば個人再生の「住宅」には該当する、個人再生が使えるという考え方が主流です。

ただし、購入時に個人再生の住宅でなかったのであれば「住宅資金貸付債権」にならず、個人再生の要件を満たさない、という考え方もありますのでリスク要因として頭に入れておく必要はあるでしょう。

 

 

住宅ローン条項を使った個人再生は失敗すると、自宅を失うことにもなりかねません。

住宅ローン条項を使う個人再生については、事例豊富なジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。

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