個人再生の売掛金の清算価値を解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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FAQ(よくある質問)

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Q.個人再生での売掛金の評価は?

自営業者の個人再生で、売掛金の評価が問題になることがあります。

そこで、個人再生手続きでの売掛金の問題を解説します。

  • 自営業者で個人再生を検討中
  • 未回収の売掛金がある

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.8.30

 

個人再生の売掛金問題

自営業者の個人再生では、売掛金が問題になることがあります。

売掛金も財産のため、清算価値基準での影響があります。

問題になるのは、長期間回収できていない売掛金の評価と、毎月のフローで発生している売掛金の評価の2点であることが多いです。

 

回収困難な売掛金と清算価値

売掛金は、代金を後払いで契約した場合の請求権です。

未回収の売掛金は財産です。

個人再生手続きでは、財産目録に記載しなければなりません。

ただ、売掛金の中には、回収が難しいものもあります。未回収の売掛金でも貸し倒れ処理をしていないため、そのまま青色申告決算書に載り続けているだけのような権利もあるでしょう。

このような売掛金が財産目録に記載され、清算価値に計上されると、支払い額が増えてしまうケースが出てきます。

しかし、回収不能であれば、売掛金の評価額をゼロとする方法があります。

民事再生規則56条では、財産の「評定は、財産を処分するものとしてしなければならない」とされています。

回収が困難であれば、回収見込額を記減します。

 

売掛金の回収見込額とは

この回収見込額では、早期回収見込額から、回収に要する費用を控除した額という考えがあります。

回収可能性については、報告書などで、もとの権利の証明(契約書等)や、相手の態度、支払時期から経過した期間の長さなどを報告することになるでしょう。

未回収売掛金があるのであれば、個人再生申立前、できれば依頼時に弁護士に伝え、回収見込み判断のため、相手方の所在や連絡先調査、相手方の言い分、資力等を調べておいてもらった方が良いでしょう。

 

回収見込みゼロとできる場合

売掛金の回収見込みがないことが明らかだとされれば、清算価値への影響はありません。

個人再生手続きで、このように回収見込がないとされる事例としては、相手方が自己破産手続をしているような場合があります。免責許可が出ていれば、法的に回収不能は明らかです。また、手続中の場合には、配当見込などを確認する必要があるでしょう。

次に、自己破産をしていなくても、相手方の所在不明、連絡先が不明という場合があります。住民票上の住所に住んでおらず、夜逃げ状態のような人からは回収できません。

さらに、消滅時効期間が経過している場合もあります。相手方が消滅時効を援用していれば法的には回収できないことになりますが、請求をすれば援用されそうという場合でも、回収見込はないとされやすいです。

このような主張を認めてもらうには、裏付け資料があった方が良いでしょう。

 

回収困難な売掛金

回収見込みがないと言い切れないものの、回収が困難だというレベルの売掛金もあります。

このような場合も、個人再生を申し立てる側としては、ゼロと評価してもらうよう努力すべきでしょう。

回収困難とされる売掛金としては、裁判を起こして判決を取得し、その後、差し押さえなどの強制執行をしても回収できていないような場合があります。

このような場合、個別の事情を考慮して、清算価値ではゼロと評価されることもあります。

評価が微妙な場合には、個人再生委員が選任され、評価意見を出すこともあります。

ジン法律事務所弁護士法人の弁護士が個人再生委員に選任され、このような売掛金の評価をゼロとして意見を出した事例もあります。

金額的に大きいものでしたが、差し押さえをしてもほとんど回収できておらず、その後も取り立てをしても回収できず、他に債権者が多数いることが推測されるような事件で、ゼロと評価したものです。

 

 

発生した売掛金と個人再生

個人再生手続きでは、再生手続き開始決定時までに発生した売掛金については、清算価値に含まれる取り扱いが多いです。

正確には、個人再生手続での清算価値の基準時は認可決定時とされています。

しかし、開始決定時には、認可時の売掛金額はわかりません。これは他の財産でも同じです。そこで、いったん、開始決定時の金額を清算価値とする取り扱いです。

個人事業で開始決定前に発生した売掛金の中には、毎月発生するものも多く含まれています。

会社員の給与のような売掛金です。

その売掛金の収入から、生活費を出していることがほとんどでしょう。その場合、認可時には、ほとんど手元に残っていないことになります。

そのため、再生計画案提出時には、財産変動に関する報告をします。厳密には認可時とは異なりますが、認可時に近い時点として、その時点での売掛金額を報告し、これを清算価値とすることが認められています。

もっとも、清算価値を意図的に低くするために財産を減らしたりすると問題です。家計支出が多ければ、それだけ支払見込、履行可能性の判断にも影響が出るでしょう。

 

逆に、開始決定後に、多額の売掛金が発生したような場合でも、清算価値が増加していることになるので、報告は必要です。その金額をもとに、再生計画案を作ることになるでしょう。

 

 

売掛金がある自営業の個人再生については、事例豊富なジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。

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